2025年10月 歌舞伎座・第一部 観劇記 〜波間に消えた、儚き家族のぬくもり〜

2025年10月17日、ようやく訪れた秋晴れの空のもと、歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」を観劇してきました! 🍁😆☀️
今月の公演は、松竹創業130周年記念「三大名作一挙公演」の掉尾を飾ることになる、通し狂言『義経千本桜』 🐇🌸
今回もAプロ・Bプロの二部構成での上演となり、私は後半のBプログラムを第一部から第三部までを通しで堪能 ☺️
物語の要となる狐忠信・知盛・権太の三役を担うのは、尾上右近・坂東巳之助・片岡仁左衛門という見逃せない顔ぶれ。
いまの歌舞伎立役を象徴する仁左衛門丈を中心に、若手二人がその背を追うように並ぶ――まるで“頂”を目指して競い合うような、意図を感じさせる配役です✨
ということで今回は、そんな10月公演を終えてわたくし“ミナミ”が感じたあれこれを、ゆるっと気ままに語っていきたいと思います☕️
まずは第一部から――印象に残った役者・場面を中心に振り返っていきましょう 🤗
歌舞伎演目『義経千本桜』の、あらすじや登場人物についてなど詳しく知りたい方は以下の「歌舞伎の達人」記事を御覧ください。
📘 『義経千本桜』演目の詳細についてはコチラ
なお、今回の公演の「筋書」は、松竹公式オンラインショップ 🛍️
👉️ 松竹歌舞伎座本舗(公式サイトはこちら)🔗
にて販売予定。
10/23現在、発売はまだのようですが、写真入り版の発売は10/26以降とのこと、写真入り希望の方は【舞台写真入り版】の表示を確認してくださいね📷
🌸 『鳥居前』〜若さと勢い、そして面長屋の開幕〜

さて最初の演目は『鳥居前』ですが、物語の発端となる場面です。ここで登場する人物たちが、後々とても重要な意味を持ってくるんですよね。
内容としては、今回の物語の“一番の主役”とも言える
源九郎狐=狐忠信が初めて姿を現すシーン🦊✨
まずは義経と愛妾・静御前の別れから。
義経を演じるのは中村歌昇。先月の『菅原伝授』では桜丸や梅王丸など家臣役でしたが、今回は“主人”としての立場。
堂々とした佇まいは、梅玉丈から教わったという品の良さを感じます。追われる身の悲哀もにじみ出ていて、静かな存在感がありましたね〜。
Aプロで頑張る息子ちゃん二人とともに、このあとの播磨屋巡業でも見せてくれそうです💪
静御前は尾上左近くん。
刀剣乱舞での歌昇とのコンビが印象的でしたが、先月の『菅原伝授』では同じようなお姫様の苅屋姫役、今回は本人曰く「色気も必要とされる大人の女性」🌹に挑戦とのこと。
見た目は苅屋姫と似てますが、今回はもう少ししっとり。やや弱々しい雰囲気が、かえって“哀れ”を引き立てていましたね。
そして弁慶は中村橋之助。A・B両方で弁慶を務めますが、AとBでは「大泣きする弁慶」という違いがあるのだとか!
弁慶像を「三国志」で例えると、“勧進帳”は冷静沈着な関羽タイプ、”鳥居前”は直情的な張飛タイプというところでしょうか 🔥
義経に怒られて大泣きする弁慶はちょっと可愛らしいですよね。
さあそして真打ち登場!
狐忠信=尾上右近🦊。
荒事風味の忠信は今回が初挑戦ということで気合十分なんですが、登場した瞬間私が思ったのは「顔長いな〜」でした(笑)
本人いわく“面長屋”ですから🤣
でも、そういうユーモラスなところが右近の真骨頂。当人は大真面目に演じてるんですが、それがまた愛される理由ですね。
荒事役にはまだ若さが残るけど、「これぞ歌舞伎!」という勢いと華やかさはしっかり伝わってきました👏
ちなみに音羽屋の”右近 × 左近”で”忠信 × 静”ですよ!『吉野山』でもいつか見たい組み合わせですね〜。
そして忘れちゃいけないのが橘太郎さん。
今回は”笹目忠太”として静にちょっかいを出し、忠信に軽くあしらわれる半道敵😂
第三部の『吉野山』でも似たような役として”逸見藤太”が出てきますが、あえて名前変えて別キャラにしてるのは重複を避けるためでしょうか。
今回の出番はやや物足りなさも感じましたが、こういう半道敵をやらせたら橘太郎さんの安心感は抜群です✨
全体としては、若さと新鮮味あふれる鳥居前でした。
このあとの物語の鍵を握る導入としても、通し狂言のオープニングとしても上々の出来。
観客の心をしっかりつかむ“始まりの一幕”でした 🌸
🌊 『渡海屋・大物浦』〜オヤジの貫禄!巳之助の知盛〜

次なる演目は、言わずと知れた「渡海屋・大物浦」でございます。
舞台で拝見するのは、仁左衛門さんの“一世一代”以来。あのとき、最後に碇を海へ放り投げた直後、うまく綱が巻き取られず、仁左衛門さんが右手でその綱の塊を後ろへパシッとはたき落とした――あの貴重な場面を今でもはっきり覚えています。
今回は、後ろに飛び込む知盛を受け止める裏方さんたちの動きが見えたり、三階席だけで味わえる密かな楽しみがありました〜。
幕が上がってまず登場するのは、相模=松緑と入江=坂東亀蔵。この二人の声を聞いた途端、私の心の中にふっと“安心感”が湧いてきました。すでに中堅からベテランの域に差しかかる二人ですが、声聞くだけ安心できるのはさすがの一言。やっぱり『鳥居前』は若手だったんだな〜と痛感。典侍の局=孝太郎とあわせて、芝居全体がぐっと引き締まる印象です。
弁慶=橋之助は、先ほどの『鳥居前』で見せた直情的な“張飛スタイル”をやや残しつつ登場。
後半では頭を丸め、ようやく冷静さを取り戻した様子。幕切れの法螺貝の音――もう少し長く響かせてほしかったかな🎐
そして、今回の知盛=坂東巳之助!
この公演では長男・緒兜くんがAプロで安徳帝として初お目見得、自身は義経を演じています。しかもAプロの知盛は中村隼人。二人は『NARUTO』でダブル主演を務めた間柄で、まさに同世代のライバル🔥 隼人・知盛を間近で見ているだけに、巳之助の舞台にも”負けんぞ”という気迫と自負がにじみ、堂々たる貫禄を感じましたね〜。
仁左衛門さんから薫陶を受けた二人が、十年後に再び知盛を演じるのか?――いまから楽しみです😊
他に個人的に印象深かったのは、坂東亀蔵さん演じる入江丹蔵の立ち回り。追手との取っ組み合いの末、羽交い締めにされたまま、自らもろとも敵を刺し貫いて果てる場面――これ、『義賢最期』でも似た場面がありましたね。実際にはあり得ない行為かもしれませんが、“自らの死と引き換えに敵を討つ”という美学を描くには、まさに歌舞伎らしい演出。現実ではなく“お芝居”だからこそ成立する壮絶な見せ場でした。
この話の結末はなんとも物悲しいものです。安徳帝の「知盛さらば〜」という一言が、有名な「仇に思うな」より、私にとっては沁みるんですよね。幼い帝からのこの言葉は知盛にはどう聞こえたのか?
渡海屋での生活はほんの束の間だったのでしょうが、銀平・お柳・お安として過ごした時間には、確かな“家族の温もり”があったように思えてなりません。
戦に明け暮れた知盛、そして時の流れに翻弄された典侍の局と安徳帝――。
その束の間の安らぎの時間があったから、悲壮感の中にも人間味あふれる物語に感じられると思います🌊
🎬 第一部を終えて
『鳥居前』も『渡海屋・大物浦』も、若手中心の配役でフレッシュな風が吹いた第一部🌸
主役の二人はもちろんのこと、歌昇や橋之助といった面々も着実にステップアップしていて、舞台全体に「これからの歌舞伎」を感じさせてくれました👏
そして――いよいよ第二部では、今回の座頭ともいえる片岡仁左衛門が登場。
獅童の息子、陽喜くん・夏幹くんはオヤジのいない舞台に立ちます。
第二部での物語は複雑な人情が交錯する――『木の実』『小金吾討死』『すし屋』。
こちらもいろいろと語ってみたいと思います。🍣✨
お楽しみに〜!
📙 10/24「2025年10月 歌舞伎座・第二部 観劇記 〜親子の情がすれ違う、哀しき運命の糸〜」アップしました!











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