2025年4月、歌舞伎座 昼の部『木挽町のあだ討ち』:染五郎が魅せた爽やかな仇討ち劇

2025年9月24日

2025年4月「四月大歌舞伎」が行われている歌舞伎座
2025年4月「四月大歌舞伎」が行われている歌舞伎座

令和七年四月二十二日(火)、初夏の香りが漂う晴天の下、歌舞伎座「四月大歌舞伎」昼の部を観劇してまいりました!🎭🌤️

その場の空気感まで楽しんできた、まさにリアルな“観劇記”です。✨

昼の部は、「高麗屋」が中心の舞台構成。最初の演目は新作歌舞伎。市川染五郎松本幸四郎が登場します。🎋

さあ、それでは見ていきましょ〜!🙌


『木挽町のあだ討ち 第一幕』🗡️

第一場:父の乱心(ミステリーの開幕)🧩

主演は市川染五郎。前髪立ちの若い武士・菊之助を演じます👦⚔️

幕が上がると、そこはとある武家の屋敷。そこでは母と息子(菊之助)の穏やかな会話が描かれます。しかしそこへ、父・清左衛門と下男の作兵衛(中車)が何やら思惑ありげに登場。

菊之助も二人の様子がおかしいのを気にかけていると。なんと、清左衛門がいきなり菊之助に斬りかかったのです!驚いた菊之助が右へ左へと逃げ回る!それを追いかける清左衛門!割って入る作兵衛!もみ合う二人!その混乱のなかで、刃が清左衛門の首を切り裂き、鮮血が飛び散る!!💥😱

一瞬で穏やかな日常が修羅場へと変貌する場面は、舞台上の緊張感がビシビシと伝わってきました。筋書きで知っていたはずなのに、こんなにも心を揺さぶられるとは😳

倒れた父を呆然と見つめる菊之助、騒ぎを聞いて集まってくる家臣たち、動揺しながら逃げ出す作兵衛……観客も「いったい何が起きたのか?」と引き込まれます👀

衝撃も冷めやらぬ中、上から幕が落とされるとそこには「木挽町のあだ討ち」の文字が。映画のようなプロローグにゾクゾクします!🎬✨

第二場:旅路の果て(江戸情緒と定九郎風イケメン)🪭🌧️

江戸の芝居小屋の賑い
江戸の芝居小屋の賑い

場所は変わって江戸の芝居小屋「森田座」前🏮

賑やかな呼び込みと楽しそうに行き交う人々。江戸時代の芝居小屋の素朴な雰囲気、いいですね〜。今の歌舞伎座はちょっと立派になりすぎちゃったかな?😊

にわか雨の中現れる菊之助。雨に濡れた姿は仮名手本忠臣蔵の「斧定九郎」と見紛ういい男。いずれは染五郎くんの当たり役になるんだろうな〜🌧️🗡️

そして世間知らずだがまっすぐな目をした菊之助が父の仇を探して江戸で苦労していることを知った森田座の人々は、彼を温かく受け入れます。これぞ江戸の人情ですね🤝

ここでの私の密かな注目ポイントは、番頭さんです👀

会話にはあまり関わってないですが、番台に戻るときに雨でできた水たまりを「つま先立ち」でちょいちょいと避けながら戻っていく・・・この細かさいいですね〜こういうのされるとつい見入っちゃうんだよな〜🦶💧

第三場:つかの間の安息(女形ってやっぱり男なんです)💃

そして、次の注目は中村壱太郎演じる女形役者のほたる🌸

女形の壱太郎が女形役者を演じると・・・結局女なのか男なのか?という、女形迷路にハマりそうですが、ここは「見た目は女、中身は男」という解釈でよさそうです🫣

そんな壱太郎演じる「ほたる」はイケメンで純粋な菊之助くんとも仲良し。その様子を他の役者に「惚れたんじゃない?」みたいに揶揄されてキレます🔥

「金◯握りつぶすよ!!」💥

今日、一番の名言(迷言?)いただきました〜😆

1月の大富豪同心ではいまいち活躍できなかった壱太郎。

でも、このセリフで私の心もがっちり掴んでいただきました💘

今後壱太郎の顔をみるたび、「金◯握りつぶすよ!!」が私の中に蘇ることになりますね〜😏

次に登場したのが仇討ちに関して重要な情報をもつ狂言作者の篠田金治。演じるのは染五郎の父・幸四郎です 📝

菊之助の母の知り合いということですが、遊女を連れていかにも遊び人。🍶

純粋でまっすぐな菊之助(染五郎)とちゃらい遊び人風の金治(幸四郎)・・・高麗屋の家庭事情じゃないよね?🙃

第四場:仇討ちの指南(舞台裏って楽しい)🛠️

それから一ヶ月ほどすぎ・・・仇討ちのための剣術指南役として与三郎(中村又五郎)が名乗りをあげてくれ、喜ぶ菊之助。🎎

良かった、仇討ち忘れてなかったよこの子😮‍💨

その後、森田座の舞台裏で大道具さんたちと舞台装置で楽しそうに遊ぶ菊之助・・・やっぱ仇討ち忘れてない?😅

でもこれって、染五郎本人が子役時代にこうやって遊んでたのかな〜と思うと微笑ましい😇

第五場:再会(歌舞伎の仇討ちと言えば…)🔁

そしてついに、憎き父の仇である作兵衛とばったり出会います😲

「ついに見つけたぞ作兵衛〜覚悟!」

と思いきや、

「作兵衛〜会いたかったよ〜😭」

と感動の再会に・・・なんでやねん😑

まあ、作兵衛は小さいときから家族同様にしていた仲ですから・・・父の仇と言えど複雑な心境の菊之助くん。子どもと大人の境目で揺れる青少年の心境というところでしょうか🌀

そして作兵衛からあの事件の真実を聞かされて、ますます悩むことに・・・🤯

これはあらすじ解説ではないので詳しいことは説明しませんが、父は急に乱心して菊之助を切ろうとしたのではなく、あくまで武士として主君のために尽くし、自らの家も守ろうとしていたのです🛡️

そして次にあったときこそ仇討ちを、と約束して別れる二人・・・あ、そう言えば「寿曽我対面」の五郎十郎兄弟と工藤祐経も次に会ったときに仇討ちをって言うよね。これって歌舞伎の伝統にのっとってるんだ!・・・たぶん😑


『木挽町のあだ討ち 第二幕』🎬

第一場:覚悟(セリフの重み)🕯️

久蔵と与根の前で涙を流す菊之助
久蔵と与根の前で涙を流す菊之助

久蔵(坂東彌十郎)と与根(中村雀右衛門)夫婦の家へ帰っても、どうにも気持ちが落ち着かない菊之助🏠

父を亡くしてから今までのことを思い出しながら涙を流し、自らの心境を語る姿が描かれます💬

この場面はしんみりとした空気が流れる感動の場面…のはずなのに、なぜか途中で観客から笑いが漏れる瞬間もあって、ちょっと不思議🤔

うーん、ここは笑うところじゃないと思うんだけどね😔

ただ、彌十郎さんと雀右衛門さんの芝居がとても自然で、本当にそこに暮らしている夫婦のよう👫

きっと二人とも、舞台外でも染五郎の成長をずっと見守ってきたからこそのリアリティ🌱

「演技」以上の「素」がセリフの奥に滲んでいて、これぞ世襲の強み、歌舞伎の真骨頂だなと感じました💠

第二場:仇討ちの決意(父親ってそんなもん)🥃

場面は変わり、金治(幸四郎)と一八(猿弥)が森田座の舞台裏で酒を飲みながら、昔話に花を咲かせているところから始まります🍶

さきほどの涙を禁じ得ない展開から、今度はちょっとゆる〜い空気感🌬️

そして話題はいつの間にか菊之助のことに──

金治「あの年の若いもんは何考えてるかわからねえや」

はい、お笑いのほうの本音いただきました〜😂

幸四郎、まさか自分の家庭事情をこんな形でネタにしてくるとは🫢

言うまでもなく、菊之助役の染五郎は彼の実の息子👨‍👦

こういうセルフパロディが成立しちゃうのも、家族で芝居を紡いできた歌舞伎ならでは🎎

観客席からもクスクス笑いが漏れて、舞台と観客の距離がふっと縮まる──そんな粋な瞬間でした😊

第四場:真の仇討ち(本物よりリアル)🎭

第三場をちょっと飛ばして・・とうとう仇討ちの時がやってまいります⏳

ここからは劇中劇のような場面🎬

森田座の前に現れた、いかにも悪っぽくなった作兵衛😈

そこに赤い衣裳で顔を隠した女が現れ、作兵衛がその衣をはぎとると・・・

なんと白装束に身を包んだ菊之助が!😮

「父の仇、作兵衛覚悟〜!」と斬りかかる菊之助!⚔️

森田座のまわりにいた人々が、「本物の仇討ちが始まった」と騒ぎ出す中、菊之助は作兵衛とその手下たちを相手に一人で大立ち回りを演じます🌀

そう、本当に演じているのです🎭

これは金治が仕込んだ「芝居」。

途中わざわざ舞台を回して裏方として仕込みをする場面も見せてくれます🔧

しかししかし、あら不思議。なんかかえってリアリティが出ちゃうんですね〜🤯

芝居を演じている菊之助たち・・・を周りで見て本当の仇討ちだと思って歓声をあげる人々・・・を見てる我々観客👥

気がつくと手に汗握っていましたよ、ホントどうしたんでしょ🫳💦

第五場:木挽町の家並み(大団円)🎉

菊之助、別れの旅立ち
菊之助、別れの旅立ち

そしてシナリオ通りに仇討ちを果たした菊之助🏆

多くの人達に見送られて母の待つ故郷へ帰ります。その中にはあの人の姿も・・・👋

純粋で一途、だがまだまだ幼い若者を、様々な立場の人がそれぞれの思いで支えていくことで、皆が幸せな気持ちになる・・・💞

それはまるで「優曇華の花」が三千年に一度咲くような奇跡の出会いでした🌸

出だしの緊迫感から、重たい展開も予想されましたが、最後は大団円で終わる、まさに「歌舞伎の世話物」って感じでよかったですね〜😊


終わりに この舞台で言いたいこと!📝

最後に、この芝居での染五郎くんですが、「なんか凄い」の一言です💥

正直言って、「市川染五郎」に対する世間の評価の高さって……イケメンだからでしょ? という気持ちがあったんですよね😅

高麗屋の御曹司でもあるから小さいときから大役を演じることもできる……一庶民の私としては、なんか共感しにくいのです🤷‍♂️

愛之助とか獅童とか松也みたいに、自分自身の努力で今の立ち位置にのし上がってきた役者のほうをどうしても応援したくなるんですよね📈

これまでも染五郎くんの舞台を見ると、ちょっと優遇されすぎなんじゃないの?って思ってました🤔

昨年1月に歌舞伎座で上演された「息子」なんて、ただおじいちゃんが孫と舞台に立ちたいだけじゃね。なんて邪推もしてしまいましたし🙄

でも、今年1月に新春浅草歌舞伎で見た染五郎くんは何かいままでとちがって見えました✨

同世代の仲間たちに囲まれて、同じ立場で切磋琢磨する……そんな環境は今までなかったのではないか。

この「木挽町のあだ討ち」では、最初から違って見えました🌟

その証拠に、わたしが舞台を見た直後の備忘録メモにはいきなり、

「染五郎、なんか凄い。」🖊️

と書いてあります。🗒️

浅草が何か大きな転機になったのかもしれません。あくまで素人目線ですけどね👀

と言った感じで新作歌舞伎「木挽町のあだ討ち」堪能させていただきました🙇‍♂️

細かいあらすじを知りたい人は、筋書を買うか再演を楽しみにしていただくことをおすすめします📖

しかし、再演も染五郎くん主役かな。他の役者がやりにくくなっちゃいそうですが、ぜひ自身の当たり役として確立してほしい演目でした🎯

ということで、令和七年歌舞伎座「四月大歌舞伎」の観劇記はこれぎり🙇🏻‍♂️