2026年1月 新春浅草歌舞伎 第二部 〜ここからの飛躍を期待させる若手たち〜

2026年1月17日

2026年『新春浅草歌舞伎』の浅草公会堂前の絵看板と書き出し

2026年1月5日🎍、浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」。
第一部では、染五郎の凛々しい『梶原平三誉石切』に始まり、鶴松と左近の『相生獅子』、そして莟玉の『藤娘』と、実にバラエティ豊かな舞台を楽しみました✨

出演は、座頭の中村橋之助をはじめ、中村莟玉市川染五郎尾上左近中村鶴松というおなじみの顔ぶれに、今年は市川男寅が加わった総勢6名の若手花形たち。

先日の記事でお届けした【第一部】では、市川染五郎の貫禄あふれる『梶原平三誉石切』をはじめ、襲名を控えた中村鶴松と尾上左近コンビの華やかな『相生獅子』、そして中村莟玉の幻想的な『藤娘』など……若手たちの「爽やかな熱量」に圧倒されました。そうそう、女形・中村梅乃のレアな立役姿も✨

📘 前回の「新春浅草歌舞伎 第一部観劇記」はこちらからどうぞ!

2026年1月 新春浅草歌舞伎 第一部 〜令和八年の歌舞伎初めは浅草で〜

さて、ひと息ついて迎える第二部
演目が変われば、空気も、役者の表情もまた変わるものですが、第一部を見終えた後の第二部ではどんな景色が待っているのでしょうか。

名作『傾城反魂香』に、道成寺ものの中でも異色の『男女道成寺』。ミナミの視点で「絵的に面白かったこと」や、第一部とはまた違う「濃厚なドラマ」を中心に、ゆるりと観劇記を綴っていきます✍️
どうぞ最後まで、ごゆっくりお楽しみください🍵


今回の公演の詳細については「歌舞伎美人」をご確認ください👇
➡️ 令和8年1月浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」

第二部

2026年『新春浅草歌舞伎』に送られたお祝いの胡蝶蘭

さあ、いよいよ第二部の開幕です🎭
前説は第一部と同じ人、中村吉兵衛さん……か?🤔

そして、お待ちかねのお年玉ご挨拶は、5月に襲名を控えた左近くん🎍✨

お年玉ご挨拶への登場は、今公演でこれが二回目とのことですが、いきなり「今日はふざけた話をします」との宣言😆
昨年のお年玉ご挨拶のとき、染五郎が左近のあれやこれやを暴露していたようで、その仕返しだとか(笑)
……とはいえ、結局何の仕返しにもなっていない感じでしたね🤭

というわけで、まだまだ修行中(?)な左近くんですが、さてさて……肝心の舞台では、どんな姿を見せてくれるのでしょうか👀✨

🌸『傾城反魂香』―“言葉が不自由”な絵師・又平、その執念と奇跡―

2026年『新春浅草歌舞伎』第二部の演目『傾城反魂香』の絵看板

第二部最初の演目は、『傾城反魂香』の土佐将監閑居の場。通称『吃又(どもまた)』と呼ばれる、”吃音”の絵師・又平が主人公の物語です🎨

又平を演じるのは橋之助、妻のおとくを鶴松。この二人、昔から「この演目を一緒にやりたい」と話していたそうで、ついにその念願が叶ったのだとか✨

実際に観てみると、橋之助の又平はなかなかのはまり役。ものすごくイケメンというわけでもなく(笑)、ラジオなどを聴いていても気取った感じがないところを見ると、又平という人物像がニンに合っているなと感じます🤔

一方、鶴松くんのおとく。うまく話せない又平の代わりに、ペラペラとよく喋る奥さんという役どころですが……ここはやや物足りなさも💦

いわゆる「立て板に水」のように、もっと滔々と喋る勢いが欲しかったかな、という印象です。

男寅くんは修理之助で登場。筆で虎を消す場面では「」という字を書いているそうですが、三階席からでもしっかり「龍」と読めました🐉

そして染五郎が、注進姿の雅楽之助で登場!
……まあ、足の細いこと細いこと(笑)😆

物語はいよいよクライマックス。又平が、遺書ともいえる自画像を手水鉢に描きます。

すると、その絵が突き抜けるように、裏側にも同じ絵が浮かび上がる――
……なんだか目玉が飛び出したような、ちょっとおもしろい顔にも見えますが🤭
こんな表情でしたっけ?
と思ってたら、筋書の橋之助コメントに「父が紀尾井町の叔父様(二世松緑)からいただいたもの」だそうです。
現在の松緑さんに似ているような気も…

その絵に気づいて驚いたおとくが又平に知らせますが、又平はなかなか気づかず、何度も立ち去ろうとする。このやりとりが、なんとも言えず笑いを誘います😄

この演目を観るたび、「そんなに驚いて名を許すほどの出来事かな?」と思っていたのですが……今回、あらためて考えてみると💭

実際には、又平は表と裏、両方に絵を描いていた。それが、あたかも突き抜けたかのように反転してそっくりに描かれていた。
その高度な技術を師によって認められた――
ということなのではないでしょうか。

現代のように、コピーや写真で簡単に複製できる時代とは違い、同じ絵を直に見ずに寸分違わず描くというのは、極めて難しいことだったはず。

それができたからこそ、又平は絵師としての力量を認められた……
そんなふうに、橋之助と鶴松の芝居を観ながら想像してしまいました🖌️

それにしても、第一部でも手水鉢が重要なポイントでしたが、これは……たまたま重なっただけ、かな?🤔

🌸『男女道成寺』――主役・左近、そして花子の対比

2026年『新春浅草歌舞伎』第二部の演目『男女道成寺』の絵看板

続いて、浅草公会堂最後の演目となるのが『男女道成寺(めおとどうじょうじ)』です🎭

今回の筋書やチラシでは、書き出し(一番右側の名前)が尾上左近、左端にまるる(中村莟玉)
過去の上演では必ずしも”桜子実は左近”が書き出しになるとは限らず、序列が明らかに上の場合は”花子”が書き出しになっています。

今回は左近くんが主役格の演目、という位置づけからの書き出しなのでしょうか🤔

ちなみに、舞台上でのスタート位置は、上手に”花子”のまるる、下手に”桜子実は左近”。このあたりは演目の型として、「花子は上手、桜子は下手」から始まる決まりのようです。

最初は二人とも白拍子姿で登場。
……こうして並ぶと、まるるの顔の丸さが際立つなぁ(笑)😆

二人が華やかに舞い踊っていると、”桜子”の正体が”狂言師左近”であることが発覚。帰ろうとする左近を、二人の強力――橋之助染五郎が引き止め、男として踊る流れになります。

この二人の強力、見た目は『連獅子』に出てくる二人の僧のようですが、役回りとしては道成寺につきものの”聞いたか坊主”的存在。

左近のお色直しの間、軽快な踊りとパントマイムを披露してくれます🎶

さらに「花子たちは誰かに似ている」という話題になり、「大河ドラマ『べらぼう』に出ていた中村莟玉」云々というセリフが出ますが……いや、あえて言うほど重要な役ではなかった気も(笑)😅

そして、花子と左近の舞踊が再開。

ここで、まるるが『国宝』で注目された、あの寝転がって頭に手をやるポーズをビシッと決めます✨

一方の左近くんはというと……強力二人が見守る目の前で、扇をボトッと床に落とす!!😲

これは演技?……いや、さすがにただのミスかな?🤔

それでも舞台は進み、いよいよ鐘に花子が登る場面。このときの恨みの表情は、なかなかの迫力でした🔥

対する左近は地上で早変わりですが……引き抜きにやや手間取っている様子。

どうにかラストは決めてくれましたが、全体としては、少し締まりに欠ける印象になってしまいましたね〜。

🎍 新春浅草歌舞伎 第二部終了

以上が、第二部を観劇したミナミの感想です✍️

『傾城反魂香』。
決してかっこいい主人公とは言えない“又平”ですが、橋之助は子供のときから憧れていたと言います。その言葉にたがわず、又平という役になりきって演じていたように思います。鶴松との「いつか一緒にやろう」という約束を実現しただけでなく、座頭として、そして結婚を機に新たな責任を担うという気概がこもっていたのではないでしょうか。

対して鶴松の“おとく”は、個人的にはやや物足りなさも感じましたが、橋之助との呼吸はぴったりだったと思います。単なる仲良しというだけでない、絆のようなものがあるのでしょうね。

『男女道成寺』。
まるるは第一部の『藤娘』に続き舞踊演目での出演。しっかり決めるところは決めていましたね〜✨
特に最後の怨念がにじみ出る表情は、迫るものを感じました。元がかわいらしい雰囲気なので、ちょっと難しいかなと思っていましたが、なんのなんの。

ただ、左近くんのほうは、扇を落としたり今回は第一部からどうしたのかな?というところが目立ってしまいましたね〜🤔
たまたま私が見たときだけで、日にちが経つにつれてよくなっていっていると思いますが、5月の襲名に向けてのステップにしてほしいですね。

ということで、今年の新春浅草歌舞伎の観劇記でした🎭

このときのメンバーが今後どんな活躍を見せてくれるのか……
そして、来年はどんな顔ぶれが浅草に集うのか。

そんな期待を抱きながら、令和八年の歌舞伎初め『新春浅草歌舞伎』観劇記、これぎりといたしとうございます。

最後までご覧いただき、ありがとうございました🙇‍♂️

🔗2026新春浅草歌舞伎の解説(後編)動画はコチラ👇️

※本記事内の写真は、すべて劇場にて撮影許可のあった場面、または私的鑑賞記録として撮影したものです。