2026年2月 歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」昼の部 観劇記  〜物足りなさと圧巻の『関の扉』〜

2026年2月千穐楽の歌舞伎座前

2026年2月26日、🎭歌舞伎座で開催された『猿若祭二月大歌舞伎』の千穐楽・昼の部を観劇してまいりました✨

本公演は、本来であれば『中村舞鶴襲名披露公演』でもありました。しかし、1月に鶴松くんの事件が報道され、襲名披露公演は中止に。どこかやりきれなさを抱えたまま迎えた千穐楽となりました。

そんな空気の中で、役者の皆さんはどのような舞台を見せてくれたのか――。
鶴松くんの一日も早い復帰を願いつつ、二月の歌舞伎座観劇記を綴っていきます🖋️
どうぞ最後まで、ごゆっくりお付き合いください🍵


今回の公演の詳細については「歌舞伎美人」をご確認ください👇
➡️ 令和8年2月歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」

🐒 恒例になりつつある『猿若祭』

前日の雨から一夜明けた千穐楽当日は、まずまずのお天気☀️
各地で梅も咲き始め、春はすぐそこまで来ているような気配です🌸

今回は電車で歌舞伎座へ🚃
銀座で降りて地下道を東銀座まで歩いてみましたが、思った以上に綺麗な通路でした。とはいえ、素直に乗り換えれば済む話なので、今後使うかは微妙なところでしょうか🤔

歌舞伎座前に到着すると、『猿若祭二月大歌舞伎』『本日千穐楽』の垂れ幕がはためいています🏮
2月の『猿若祭』は今年で三年連続の開催。いよいよ“恒例行事”として定着してきた感があります。

ただ、1月公演に比べると開演前に待っているお客さんが少ない印象…。
実際、客席の入りもやや控えめでした。そのあたりについては、データを元に後述したいと思います。

地下の木挽町広場で、まずはチケットの発券🎫と📖筋書の購入へ。
ブロマイドでまるる(中村莟玉)の写真を探してみますが……うーん。夜の部『梅ごよみ』の写真が多いんですよね。

ブロマイドは基本的に、実際に観劇した舞台のものを購入したい派。
というわけで、まるる出演の昼の部『芝居前』を観てから判断することにしました📸

そして⛩️歌舞伎座神社に参拝し、いざ開場です✨

🎁 お江戸みやげ ーほのぼの人情劇と配役の妙ー

『お江戸みやげ』の絵看板
『お江戸みやげ』の絵看板

昼の部最初の演目は『お江戸みやげ』。
田舎のおばさん二人が都会見物をしていたら、ひょんなことからイケメン役者とちょっといい感じになりそうで……ならない😅
どこかほのぼのとした、人情味あふれる一作です。

主役のお辻を中村鴈治郎、おゆうを中村芝翫。普段あまり女形を演じない二人が務めるのも、この演目の醍醐味。
そしてイケメン役者を坂東巳之助が演じますが……う〜ん🤔 あんまり“イケメン役”のイメージじゃないんだよな〜。

前回『お江戸みやげ』を観たときは、お辻を芝翫、おゆうを中村勘九郎、イケメンを珍しい立役の中村七之助、さらにその恋人をまるるが演じるという、私にとっては実に贅沢な布陣✨
そのイメージが強く残っているだけに、今回は少し物足りなさを感じてしまいました。

そんな中で注目したのが、片岡孝太郎演じる文字辰。
嫌な女の役ですが、登場した瞬間からどこか顔が歪んで見えるほどの嫌味っぷり😈
「うわっ、嫌な女出てきた」と一瞬で分からせる説得力がありました。

筋書のコメントでも「“あぁ憎たらしい”とお客様に思っていただけるように努めたい」とあり、まんまとその術中にハマった感じです。
そして、その文字辰を苦々しく思う角兵衛獅子の中村歌之助。後ろで話を聞きながら嫌悪をにじませる表情が実にいい味でした👏
神谷町三兄弟にも今後ますます注目していきたいところです。

ちなみに『お江戸みやげ』の初演は1961年。歌舞伎としては比較的新しい演目です。
主役の二人が“年増の女性”という設定は、昭和期からの歌舞伎ファン層ど真ん中とも言えるでしょう。

お客さんの共感を呼ぶことも芝居には大切。
とはいえ、私としては「年配の男性が若くて可愛い女性に惚れられる」話のほうが共感できそうなんですが……そんな演目あったかな?🤨
『鳴神』! ……いや、あれはいい年したおっさんが若い美人にうまく転がされる話でしたね。トホホ😅

🪁 鳶奴 ーまさにインターバル演目?ー

『鳶奴』の絵看板
『鳶奴』の絵看板

さて、わずか15分の短い幕間を挟んで『鳶奴』。
尾上松緑による一人舞台です✨

……ちょー短かったです(笑)😆

松緑自身が「インターバルのような感覚で気軽にご覧いただければ」と語っていた通り、本当にそんな感覚の一幕でした。

ここで登場するのが、私の大好きな“差し金”!
鳶が鰹をくわえて空へ舞い上がり、それを奴が必死に追いかけますが……どうにもなりません🐟💨

現代でも観光地などでは「トンビに注意」と張り紙があったり、実際に食べ物を奪われることもありますよね。
江戸の町中でも、きっと似たような光景があったのでしょう。

ほんのひとときながら、“江戸の風情”を感じさせる、軽やかで楽しい踊りでした🎶

🎊 芝居前 ー華やぎの中の空白ー

『芝居前』の絵看板
『芝居前』の絵看板

さて、お次は『芝居前』。正式には『弥栄芝居賑(いやさかえしばいのにぎわい)』です。
物語性よりも興行の成功を祝うことに主眼を置いた演目で、いわば役者たちの顔見世的な一幕。何と言いましょうか、ファンサービス色の強いお祝い演目です✨
役名もそれぞれ自身の名跡をそのまま名乗るという、祝祭色たっぷりの構成になっています。

見どころは、お祝いに駆けつけた男伊達・女伊達たちが花道で順番にツラネを述べる場面。
ただ、3階席からは歌昇くんと新悟くんしか確認できず……ちょっと悔しいところでした😅

そして、京からわざわざ祝いに駆けつけた松嶋屋の旦那・新左衛門こと片岡仁左衛門。
このあたりはきちんと役名なんですね。十七代目勘三郎に芸を学び、十八代目勘三郎とも深く関わってきた歩みを語り、さらに勘九郎・七之助の成長まで言及する姿は、まさにこの場に最もふさわしい存在感でした。

最後の締めを「千穐楽だから」と座元役の勘九郎に譲ると、勘九郎は思わず
「皆様の御多幸と……とりあえず御多幸を願って……」とあたふた。
すかさず仁左衛門さんが「繁栄もね」と一言添える場面には、客席もほっこりとした笑いに包まれました😊

華やかで賑やかな猿若祭を祝う一幕。
けれども、やはりどこか物足りなさが残ります。本来の舞鶴襲名披露が行われていれば、ここで大きな盛り上がりが生まれたはず……。主役不在のまま進む祝宴のような、どこか空虚な感覚を最後まで拭いきれませんでした。

そんな中で一番印象に残ったのは、女伊達まるるの可愛らしさ。
小首をちょっとかしげてにこやかに並ぶ姿に、思わずこちらの頬も緩みました☺️

🌸 積恋雪関扉 ー幻想と迫力の大詰めー

『関の扉』の絵看板
『関の扉』の絵看板

昼の部ラストは『積恋雪関扉』、通称『関の扉(せきのと)』。
中村屋兄弟に八代目尾上菊五郎という、なかなか実現しなさそうな座組です。

ひょうひょうとした関守から一転、大伴黒主として悪の本性を現す勘九郎。
人目を忍び侘住まいをする不遇の宗貞を菊五郎。
宗貞の恋人・小野小町と傾城墨染の二役を七之助。

それぞれの持ち味が実にうまく引き出され、見ていて「さすが」と思わせる舞台でした👏

とはいえ、物語の筋はファンタジー要素満載。
血潮の汚れで鶏が鳴き、星相を見て桜を切ろうとし、小町桜の精が人の姿で現れる——。
改めて振り返ると、なかなか大胆な世界観です。

そういえば『超歌舞伎』でも取り上げられていましたね。
最新のデジタル技術で初音ミクが屏風に浮かび上がる演出がありましたが、この『関の扉』では桜の木に小町桜の精が現れます🌸

木の幹の中に入った七之助が内側から明かりを灯し、薄い御簾越しに透けて見える——。
シンプルながらも幻想的で、こういう舞台装置の工夫こそ歌舞伎の醍醐味だと感じました。
そして本日二度目の“差し金の鳥”も登場🕊️

ラストは中村屋兄弟二人による立ち回り。
菊五郎さえ引き立て役に回るほどの迫力で、圧巻の幕切れとなりました。

🎭 令和八年二月の『猿若祭二月大歌舞伎』を振り返って 🎎

2026年2月『猿若祭二月大歌舞伎』が開催された歌舞伎座・千穐楽
2026年2月『猿若祭二月大歌舞伎』が開催された歌舞伎座・千穐楽

ということで、『猿若祭』昼の部のみではありますが観劇してまいりました。

もともと『舞鶴襲名披露』を前提に組まれた演目と座組だったはずですから、鶴松くんが出演する予定だった演目にどこか興ざめ感が残ってしまうのは、やむを得ないところでしょう。しかし、勘九郎・七之助の奮闘、そして他の役者さんたちの思いもあって、無事に千穐楽を迎えられたのだと思います。

私自身も舞鶴襲名を念頭に(『雨乞狐』は鶴明会で拝見していたので)今回は昼の部を選びましたが、まるるが活躍していそうな『梅ごよみ』のある夜の部にしておけばよかったかな……と少し思ったりも。まあ、これもまた一つの巡り合わせでしょうか。

ともあれ、鶴松くんの復帰と舞鶴襲名を、気長に待ちたいと思います。

では、二月公演の予約状況チェックです📊
2026年2月歌舞伎座公演について、ミナミが目視で確認した数値を共有します。

昼の部

  • 全体(24日間/集計23日) 97%

第二部

  • 全体(24日間/集計24日) 80%

※2026年1月は、昼の部ほぼ100%、夜の部90%でした。

昼の部は仁左衛門さんの出演に加え、菊五郎、松緑、芝翫、鴈治郎といったビッグネームが顔を揃えたことも大きいのでしょうか。後半はほぼ満席に近い日が続きました。

夜の部は舞鶴襲名披露のメイン演目『雨乞狐』が組まれていましたが、上述のメンバーは出演しておらず、「中村鶴松」という名跡の現時点での知名度を如実に示しているようにも感じます。(なお、チケット発売は事件報道前であり、予約自体への直接的影響は限定的と考えられます)

これらのデータは、前日から開演30分前までの予約状況をミナミが目視確認したものです。
あくまで参考数値としてご覧ください📅

ということで、今回の観劇記もこれぎりといたしとうございます✨

最後までお読みいただき、ありがとうございました🙏