2026年1月 歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」夜の部 観劇記 〜女暫と女殺油地獄、女形が描く光と闇〜

2026年1月20日、🎍令和八年最初の歌舞伎座観劇に行ってまいりました!✨
歌舞伎初めは浅草でしたので、歌舞伎座では初春のお祝い感が強い「昼の部」ではなく、正月早々コレをやるのって感じの、カブいた「夜の部」を選択。
座頭となる松本白鸚が早々に休演となってしまいましたが、『女暫』の七之助や『油地獄』の隼人と米吉に注目しつつ、ミナミの視点で「ちょっと気になったこと」を中心に、観劇記として綴っていきます✍️
どうぞ最後まで、ごゆっくりお楽しみください🍵
今回の公演の詳細については「歌舞伎美人」をご確認ください👇
➡️ 令和8年1月歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」
🎍歌舞伎座はまだまだ正月

歌舞伎座夜の部の開演前の時間帯は比較的甲州街道が空いているためバイクで出発🏍️ 予定どおり15:30ごろに到着……したのですが、狙っていたタイムズ東急プラザ銀座はまさかのバイク満車!午後ならたいてい空いているんですけどね……残念😅
少し料金は高くなりますが銀座シックスの地下に駐輪しました。ここは暖房が効いていて暑いくらいです。トイレで着替えて、いざ歌舞伎座へ。
さて、歌舞伎座前に着くと観光バスが三台も停車🚌🚌🚌 いろんな団体のお客さんが来られている様子です。やはり昨年からの映画『国宝』効果が、まだ続いているのでしょうか🤔
まずは⛩️歌舞伎座神社に初詣。「今年も歌舞伎が無事に開催されますように。そして、鶴松くんが一日も早く舞台に戻れますように」と、静かにお祈りしました🙏
地下の木挽町広場もお客さんで溢れていましたが、まずはチケットの発券と📖筋書の購入へ。舞台写真が筋書に入るのは明日からとのことで、う〜ん……と一瞬迷いましたが、結局購入。やっぱり筋書を見ながら観劇したいですからね😌
では、いよいよ入場。
お正月飾りが残るロビーを抜け、いつもの三階席へ。あとは筋書を読みながら、開演を待つばかりです🎭
女暫 ー女形の底力、年明けから全開ー

夜の部最初の演目は『女暫』🎭
歌舞伎十八番の『暫』をベースに、主人公を女性に置き換え、悪人どもを蹴散らして大活躍―― 現代の漫画やアニメでもよく見かける「男女逆転」の手法が、すでに江戸時代に成立していたと思うと、ちょっと驚きです😳
こういう発想、世界的にも似た例はあるんでしょうか?
それはさておき、やっぱり七之助。こういう強い女性を演じさせたら、右に出る者はいないですね。玉三郎ももちろんすごいけれど、『女暫』に関しては断然七之助派です。
新悟ちゃん演じる若菜も見事にハマっていました、七之助の巴御前に負けじと大活躍✨
やはりこの演目、女形がいかに輝くかが最大の見どころなのかもしれません。
個人的な「笑いポイント」として注目していたのが、巳之助演じる震斎が巴御前に軽くあしらわれた後、若菜にマリのように頭をつかれる場面。
……が、思ったほど笑えなかったな🤔
期待しすぎたか?
そして毎回思う疑問、成田五郎。赤っ面の一人ですが、最初は舞台におらず、呼ばれてから大物然して登場するのですが……他の赤っ面と並ぶと大物感が薄れてしまうのが惜しいところ。もう少し見た目や動きに特徴があってもいいのでは……と、つい思ってしまいます。
脇役の中の注目は、芝のぶさんの駒若丸の凛々しさよ✨
芝のぶさんといえば『マハーバーラタ』での鶴妖朶が印象的ですが、今回も存在感がしっかりありました。
勘太郎は手塚太郎光盛で登場。もうお父さんと変わらないくらい背が高くなってきていますが、まだまだ子供っぽさが残るなあ……と思ったら、中学生なんですよね😮
仕丁たちの首があっさりと飛ばされ…… 「こんなにあっけなかったかな?」と思いながら幕が引かれ、最後の引っ込み前に”舞台番”として登場する幸四郎。本家『暫』には出てこない役どころです。幸四郎本人は『暫』自体も含めて初出演とのことですが、そのうち鎌倉権五郎を勤める日も来るのでしょうか。
ここでは舞台番が巴御前に六方を教えるというお約束のやり取りがあり、巴御前は恥ずかしがりながら引っ込んで幕となります。
歌舞伎の様式美に満ち、なおかつ女形が主役として躍動する『女暫』。
新しい年の始まりにあたり、伝統を大切にしつつ、柔軟に変化しながら進んでいく――そんな意思表示のようにも感じられる一幕でした。
鬼次拍子舞 ー静謐に舞う、新春の裏側ー

夜の部2つ目の演目は『鬼次拍子舞』🎶
夜の部における、しっとりとした舞踊パートです。
出演は尾上松緑と中村萬壽の二人。
この二人は一昨年までは国立劇場で開催された菊五郎劇団の正月公演に出演するのが通例で、1月の歌舞伎座に登場するようになったのは、どうやら昨年から。
国立劇場の閉場により、菊五郎劇団の公演が新国立劇場で行われるようになったことも、何か関係しているのでしょうか🤔
それはさておき『鬼次拍子舞』。
舞台は、いわゆる華やかな新春ムードとは少し距離を置き、紅葉を背景に、静かに舞い踊る趣向です🍂
昼の部の『萬歳』が、いかにも新年を寿ぐ明るくめでたい舞踊なので、夜は一転して落ち着いた古風な大人の舞踊という感じなのでしょうか。
後半は立ち回りの場面での見どころもあり、熟練の役者二人ならではの舞踊で一息ついたという感じでした。
女殺油地獄 ー人妻の色気とダメ男の狂気ー

そしてトリを飾る演目、近松門左衛門作の『女殺油地獄』です🩸
正月のめでたい気分もなんのその、凄惨な殺しの場面で有名なこの演目を持ってくるところが、まさに歌舞伎というところでしょうか🎭
とはいえ、意外にもこの『女殺油地獄』、昔から大人気だったわけではありません。江戸時代には人形浄瑠璃として初演された一回きりで終わり、歌舞伎にはならなかったのだとか。
歌舞伎として上演され、人気演目となったのは明治以降のことだそうで。実際の事件当時の江戸の人々にとっては、あまりにも凄惨すぎる内容で、受け入れがたかったのかもしれませんね🫥
と、前置きはこのくらいにして、本日はBプロ、中村隼人の与兵衛と中村米吉のお吉です✨
隼人が演じる与兵衛は、見栄っ張りのドラ息子。馴染みの芸妓が他の客を相手にしただけで嫉妬し、店を継がせてほしいために手の込んだ芝居を仕込んで親を騙そうとしたり……。
イケメンなのに、こういうどうしようもないダメ男の役も不思議とよく似合ってしまうあたり、隼人くんの魅力ではないかと感じます😎
対する米吉演じるお吉は、小さな子ども二人を連れて、かいがいしく働く母。それでいて、匂い立つような人妻の色気も併せ持つという存在です💄
与兵衛とは幼馴染のような関係なのか、何かと世話を焼いてしまうのが、また男心をくすぐってしまうのでしょうね。
周囲の心配をよそに、一向に変わらない与兵衛は、借金の取り立てに次第に追い詰められていきます📉
もうお吉にすがるしかないと泣きつきますが、そのお吉からも断られて、ついに口にした言葉が――
「いっそ不義になって貸してくだされ」
さしものお吉も恐怖を覚え、これを跳ね除けます。この瞬間のお吉の怯える様子がちょっと”ぞくっ”としましたが、こんな常軌を逸したことを言い出すほど、与兵衛の精神状態は、すでに狂気の一歩手前😨
ここで与兵衛を帰していれば、まだ何も起こらなかったかもしれません。しかし与兵衛が「油を売って欲しい」と態度を変えたのを見て、思わずホッとしてしまったのが運の尽き。
無惨にも、お吉は与兵衛の手にかかり、殺されてしまいます。
油まみれになって仰向けに倒れ、顔は客席へ向けたままのお吉🫗
赤子の泣き声が響く中、与兵衛は必死に金をかき集めて逃げていきますが、今にもお吉が『かさね』のように手招きしてきそうです👋
なんとも救いようのない話ですが、人間のありのままの姿を突きつけられるようで、いろいろと考えさせられます🤔
結末は分かっているはずなのに、途中までは「もしかしたら、いい話で終わるのでは」と思えてしまうのも、この芝居の怖さ。
親である徳兵衛とおさわの、与兵衛への深い愛情を見ていると、最後は改心して『芝浜』のように大団円になったかもしれない。あるいは『すし屋』の権太のように、改心して最期を迎えた可能性だって、なくはなかったはずです。
けれど現実は、自分だけでなく、家族も、お吉の家庭も、すべてを破滅へと巻き込んでいく――それが、この物語の冷酷さ🧊
近松は別に教訓を書こうとしたわけではないのでしょうが、現代にも通じる人間の心の動きが、この芝居には確かに込められているように感じました。
そんなことを思いながら、歌舞伎座夜の部は幕となりました🏁
🎍 令和八年一月の歌舞伎公演を振り返って 🎭
ということで、令和八年の歌舞伎初めも、ひと区切りとなります🎍
新春浅草歌舞伎で、若いエネルギーに満たされたのも束の間、鶴松くんの出来事に、いたたまれない思いを抱えながら観た歌舞伎座は、奇しくも対照的な二つの演目が並ぶ一日となりました。
理想的な勧善懲悪の世界を、女性主人公で描いた『女暫』⚔️
一方で、人生の不条理さや残酷さといった負の側面を、これでもかと突きつけてくる『女殺油地獄』🩸
光と影、華やかさと厳しさ。
その両方を一夜で味わうことになったのも、やはり歌舞伎ならではの醍醐味なのかもしれません🎭
知れば知るほど、見れば見るほど味わい深くなっていく歌舞伎の世界📚
今年もまた、私なりのペースで、じっくりと向き合っていきたいと思います。
ということで、今回の観劇記もこれぎりといたしとうございます✨
最後までお読みいただき、ありがとうございました🙏









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