2025年8月 歌舞伎座 第二部観劇記 「永遠とは何か…」玉三郎は問い続ける!
📅 2025年8月22日、連日の猛暑の中、歌舞伎座「八月納涼歌舞伎 第二部」を観劇して参りました🎭。
8月の歌舞伎座は、例年三部構成で行われます。全部見るのはちょっと辛いので、どれか一つと思いましたが、ここはやはり、8月は久々の登場となる坂東玉三郎丈主演となる新作歌舞伎『火の鳥』🔥。やはりこれを見ておくべきかと😎。
もう一つの演目は、玉三郎の監修のもと、中村七之助、市川染五郎が出演する『日本振袖始』👘✨。玉三郎の指導を受けた七之助が、初役で岩長姫を務めるのも見物です。
✨記事のラストには、ちょっとしたネタイラストもご用意しています🎨
ぜひ最後までお楽しみください📖👀
☕ 開演前のひととき
さて第2部の開演は14時15分という通常の公演ではない時刻になります。
到着時が13時過ぎなので、いつも通り歌舞伎座の写真を撮っていると、ちょうど第一部が終了し、お客さんがぞろぞろ出てきてしまいました🚶♀️🚶♂️。
撮影は一旦中止し筋書きを買って、いつもの喫茶店カフェドクリエで軽く昼食をと思いきや、やはりこの時間帯は少々混んでおりますね🍴。
うまいこと窓際の席が空いていたので、そこで軽くホットドッグとコーヒーを注文🌭☕、筋書きにパッと目を通していると、すぐ14時になってしまったので、いざ歌舞伎座へと出発でございます🎭✨🫡。
歌舞伎座1階の喫茶「檜」の横を通ると、『中村米吉監修 銀座はちみつレモンかき氷』の看板が🍧🍋。「そういえばこの男、甘いもの好きだったなぁ」と思いつつ見ていましたが、これが後に笑いの種になるとは…。
📘 中村米吉のかき氷について知りたい方はこちら!
おっと忘れずに歌舞伎座神社にもきちんとお参りですね⛩️。今月11日には玉三郎丈が体調不良で休演ということもありましたが、残りの期間はぜひとも何事もなく千穐楽を迎えられますように🙏。
🎭 公演前から全日程満席の人気ぶり
さて、歌舞伎座無事入場しました〜。
今回の八月公演第二部は、公演開始前に座席の予約が全日程で満席になるという、ちょっと異常な状況でしたので、狙い通りの席が取れたのは幸運だったと言わざるを得ません🎟️✨。
坂東玉三郎の新作歌舞伎に、市川染五郎・市川團子という若手イケメンコンビ🧑🎤🧑🎤。
この効果は想像以上に大きいものがあったようです。
実はチケットWeb松竹での取り方にはちょっとした秘訣があるのですが…
これは近いうちに公開しようかなと思っています
💡。
👘 『日本振袖始』 開幕
はい、というわけで、第2部の最初は、玉三郎の監修による『日本振袖始』。
この作品は、歌舞伎には珍しく、日本神話の内容を基に作られた作品ですね🌸。
1971年に六代目・中村歌右衛門によって復活上演され、平成に入ってから玉三郎が新たな構成と振付で上演したものが今に続いているとのこと。
主役の岩長姫を演じるのは、歌右衛門、玉三郎以外では、七代目・中村芝翫、中村魁春、中村萬壽(時蔵時代)、八代目・菊五郎(玉三郎の代役)、中村扇雀と、そうそうたる顔ぶれです。
今回ここに中村七之助の名前が加わることになります✨。
さあ、開演です。
舞台には八岐大蛇に生贄として捧げられる稲田姫・中村米吉くん登場👸。
まあ、こういうか弱いお姫様みたいな役をするとこの人はもう抜群ですよ。本当に可愛らしいこと🥰。
生贄として一人残され、気を失って倒れる稲田姫。そこに現れる謎の美女、岩長姫・中村七之助。
倒れている稲田姫に近づくと、なんとも恐ろしげな形相で睨んでおります😨。
美しい姫への嫉妬の思い…いやー、やっぱり七之助は、こういうちょっと怖い女性をやらせたら右に出るものがいないなという感じがしますね。さすがの迫力です。
今にも稲田姫を取り殺そうかというところで、お酒の匂いにつられて、ついついそっちに行ってしまう八岐大蛇の化身・岩長姫🍶🐍。うん、確か神話にそういう内容あったなぁ😏。
髪が乱れ、徐々に大蛇の本性を表す岩長姫。
目を覚ました稲田姫に襲いかかると、これを一息に飲み込んでしまいます。この時の描写がすごい!
岩長姫が背中に掲げた羽織を、反り返った稲田姫の上に「ぐわっ」と被せるように覆いかぶさります。まさに大蛇が大口をあげて姫を飲み込む様を見事に表現しています。そのまま舞台下の奈落へと消えていく二人…実に見事な演出です👏✨。
⚔️ 素盞嗚命と八岐大蛇の死闘
大薩摩の演奏が終わると、現れたのは素盞嗚命・市川染五郎。
こういう力強い若武者という役もよく似合いますが、個人的には4月に上演された『木挽町のあだ討ち』みたいな、ちょっと色々迷ってるタイプの若者が似合うなぁと思ってます。まあ、それは後半の『火の鳥』の方で見れるかな🔥。
さて、ここからは完全に本性を表し、大蛇そのものになった八岐大蛇に対して、素盞嗚命の大立ち回りです。
憎悪に満ちた般若隈に、頭には角を生やした姿になった大蛇は、同じ姿の八人でまさに“八岐”を表現。七之助を先頭に八人が流れるように動くさまは、まさに大蛇そのもの🐍!
こういう言わばアナログな演出、好きだな〜〜👍。
そして死闘も終盤へ。
素戔嗚尊に腹を割かれた八岐大蛇から稲田姫が出てきます!
冷静に考えると「なんで生きてんの?」と言いたいところですが、まあ神話ですから…😅。
しっかり宝剣を取り戻してきた稲田姫。後は素盞嗚尊にまかせて、ちょこんと座って見ています。これもまた可愛らしい😊。
ラストは、8人が一匹の巨大な蛇になって鎌首をもたげているような八岐大蛇と、雄々しく姫を守って宝剣を構える素盞嗚尊、そして祈るように見つめる稲田姫という絵面の見得で幕となりました〜👏✨。
セリフが少ない舞踊劇という感じですが、実に見応えのある舞台でした。
美しくも何とも恐ろしげな岩長姫、そしてか弱く可憐な稲田姫の対比。タイプの違う二人の女形の共演ですが、岩永姫が徐々に本性を表していき、最後には稲田姫を飲み込んでしまう様は 女の嫉妬や情念の凄まじさを感じさせます。
正体を表した八岐大蛇と、そこに一人で立ち向かう素盞嗚尊の大立ち回り。歌舞伎の立ち回りは、相手が多いと雑魚を一方的になぎ倒すような感じになることが多いのですが、この場合は相手が8人ですが実際は1匹という形。
巨大な敵に一人で立ち向かうヒーローという姿で、迫力の見応えがある舞台でした〜⚡。
🔥 『火の鳥』 開幕
そして、いよいよ次は『火の鳥』、開幕です。
まず最初に結論を言います。
私が今年見た歌舞伎舞台の中での最高傑作でした✨。
従来の歌舞伎というよりはオペラに近い印象。心に響く幻想的な音楽 🎶、普段はあまり好きではないプロジェクションマッピングを駆使した舞台の展開の見事さ 🖼️、そして何と言っても——至高の存在としか言いようのない玉三郎の登場です。
物語はこう始まります。
大国の大王(松本幸四郎)が病で伏せっているところに、二人の息子、長男ヤマヒコ(染五郎)と次男ウミヒコ(團子)がやってきます。大王のために永遠の命を与えるという火の鳥を探しに行く——そう決意するのです。
この兄弟こそ、玉三郎も期待する若手、染五郎と團子。年齢も同じで昔から共演してきた2人ですが、その成長ぶりは目を見張るものがあります。
兄弟は火の鳥を求めて旅立ちます。
背後に流れる幻想的な音楽
🎼、
薄いスクリーンに投影される草原や山岳地帯などの風景🌾🏔️…。
兄弟が力を合わせ、苦難を乗り越える姿は、セリフがなくても心に響き、まるで本当の兄弟のように思えてきます。
この時点で、私はすでに火の鳥の世界観にすっかり引き込まれていました。
ようやく辿り着いた黄金のリンゴの木🍎。
ここで坂東新悟が初めての“フケ役”であるおばあさんを演じ、ちょっと面白い味を添えます。
そして、ついに現れる——
火の鳥・玉三郎
🪽🔥。
全身を真っ赤な衣装に包み、大きな翼を広げて舞い降りる姿。周囲には火の鳥の分身たちが跳ねまわり、まるでバレエを見ているようです。
兄弟が追いかけても、優雅に舞い交わしていく火の鳥。若い二人の役者では、まだ手の届かない——至高の存在そのものに見えました。
そこへ現れるオオカミたち🐺。兄・ヤマヒコは弟を守ろうとしてウミヒコと離れ離れに。
そして、ウミヒコは火の鳥の羽を手にし、大王の元へ戻っていきます。
✨ 永遠を語る火の鳥
結局、火の鳥を捕まえることができなかったウミヒコ。そしてそれを責める大王。遅れて戻ってきたヤマヒコは、自分のせいだと大王とウミヒコに謝ります。
そこに突然現れる火の鳥
🔥🪽。
火の鳥の言葉——
「永遠とは、人間の中にある魂であり、永遠とは何かを悟るために、思いを巡らしてほしい。」
この一言に、大王、ヤマヒコ、ウミヒコは自らの行いを悔い改めていきます。
特に印象に残ったのは、火の鳥が語る中でのこの部分。
「私自身も永遠とは何かを探求し、探し求め続けている」
歌舞伎の女形の頂点を極めたと言われる坂東玉三郎。しかし今回、新作歌舞伎として『火の鳥』を創り上げたように、彼はいまなお「歌舞伎とは何か」「自らの生きる意味とは」を探し続けているのだろうな、と感じさせられます。
それは、生きている人であれば誰しも求め続けているもの。しかし火の鳥・玉三郎の言葉には、人間の次元を超えた崇高な高みからの響きがあるように、私には思えました。
有限の人生の時間の中で、永遠を求め続けて飛ぶ火の鳥。それがすなわち、坂東玉三郎という役者なのかもしれません。拍手も忘れて…というか拍手するのも何か舞台の邪魔になる気がして、ただただ静かに見ていたい気分でした🌌。
そして最後の方で、火の鳥が小さなクレーンのような装置に乗り、宙を舞う場面が登場。『新・水滸伝』などで同じようなものが使われているようですが、今まで見たことの無い演出に、思わず息を呑みます。
「このまま本当にどこかへ飛んで行ってしまうのではないか」——
そんな感慨に包まれつつ、舞台は幕を閉じました
👏✨。
🌟 観劇のまとめ:永遠とは何か…
2025年8月22日、灼熱の夏の中で迎えた「八月納涼歌舞伎 第二部」🎭。まずは玉三郎監修の『日本振袖始』から。
稲田姫・米吉は可憐そのもの👸✨。岩長姫・七之助は美しくも恐ろしい嫉妬の化身😨🔥。
そして八人が一体となった八岐大蛇と、素盞嗚命・染五郎の立ち回りは圧巻⚔️🐍。女形の対比と、アナログ演出の妙を堪能できた舞台でした。
そして後半は新作歌舞伎『火の鳥』🔥🪽。
幸四郎の大王、染五郎と團子の成長、幻想的な音楽とプロジェクションマッピング
🎶🖼️で広がる世界観。舞い降りた真紅の玉三郎は、ただただ至高の存在👑✨。
火の鳥の言葉と、「永遠を探し求め続ける姿」は玉三郎自身の芸の在り方を映すようで、心に強く響きました💖🌌。
ラスト、宙を舞う火の鳥を見ながら🪽、「このまま本当にどこかへ飛んでいってしまうのでは…」と感慨に包まれて幕👏😭✨。
——振袖で伝統の迫力を、火の鳥で新作の革新を。
同じ舞台で二つを味わえたこと自体が贅沢で、まさに今年これまでのベスト観劇🌟🎭🔥だったと断言したところで
本日はこれぎりとさせていただきます🙇🏻♂️。
🔥おまけ:「火の鳥」舞台裏での攻防!🔥
「永遠とはなにか…?」を追い続ける玉三郎🎭——。
しかし舞台裏には、もう一人「永遠」を求める者が…👑💦
そんな妄想を一枚ネタにして描いた、軽めの漫画風イラストです(※フィクションです)😂✨
📘 ウミヒコ(團子)とヤマヒコ(染五郎)のやりとりについては、コチラのネタ漫画絵の続きとなっております。
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